Memory of Night
第9章 予感
「だってあたし三限からここにいるのよー? 寝過ぎて飽きた。これじゃ、なんのために学校来てるかわかんないし」
「あっそ。なら……」
宵は自分のプリントを指さした。
「これ。残りやって?」
「は?」
「暇潰しになるだろ」
「暇潰しってあんた……」
呆れ顔で盛大にため息をつく明。
「それくらい自分でやんなさいよー!」
「……こっから先が全然わっかんねーんだよ」
六問目の問題をシャーペンで指しながら、宵が言う。
どれどれと、明はその問題を覗きこんだ。
B5サイズの問題用紙。そこには計算式が十題印刷されていて、どうやら六問目からは応用問題のようだった。
「教科書は?」
「教室。持ってきてねーし」
「しょうがないなぁ……」
文句を言いながらも、プリント自体には興味を持ったらしい。
テーブルを挟んで向かいのソファーに座り、宵からプリントとシャーペンを受け取った。
あたしもコレもらってこなきゃなのになぁ、まぁいいか、帰りにもらって明日出せば……、などとぶつぶつ言いながら、結局問題に取り組み始めた明を宵が見つめる。