Memory of Night
第2章 部屋
外は、思っていたよりも涼しかった。晃の家に来た時よりも風がある。
浴室を出ると、晃は宵の手首に包帯を巻いた。
それから金と、カモフラージュになればとリストバンドまで渡された。
そうして晃の家を出たのは、四時半を少しまわった頃だ。
金はわざわざ封筒に入れて渡された。
歩きながら、中身を確認する。
(こんなに……っ!?)
その金額の多さに、思わず封筒を取り落としそうになった。
茶封筒の中には、なんと万札が十枚も。
(十万も……。こんなもらうほど、俺なんにもしてねーのに)
確かに縛りには協力したが、晃の要求に応えたのは考えてみればそれだけだった。
特別な奉仕をしたわけでもないのに。
ふいに晃との感触が蘇り、宵は足を止めた。体のどこかがうずくような気がして気分が悪かった。
晃に触れられたところは、まだほんのりと熱を残している。
体の外も……内側も。