Memory of Night
第11章 罠
「ばーか! 男とヤる趣味はねーっての」
その声に応え、ガラの悪い男達の向こうから現れたのは艶やかな金髪。
夏休みの終わりに晃を襲っていた金髪男だった。
金髪の男は仲間らしき連中から一歩前に進み出た。
宵の行く手を阻むように、宵よりも一回りほどでかい体で往来に立ち塞がる。
「――よお、大河。」
仲間連中も、金髪に習い宵の周りを囲み始めた。
その数は、六人。その中には、晃を襲った時にいた、頭を刈り上げだ紫頭の男もいた。
(くそっ、こんな時に!)
最悪のタイミングを、呪わずにはいられない。
生死をさ迷う志穂に、ようやく手術をすることができるのに。
金髪は一歩前に進み出て、口角を持ち上げ低く言う。
「この間は随分とナメた真似してくれたじゃねーか。ああ? きっちりその礼はさせてもらうぜ」
そうして笑みを消す。
宵は身構えた。
「やっちまえ!!」
男は血走った目を見開き、走り込んでくると同時に吠えた。