Memory of Night
第12章 吐露
「……っ……」
左足を曲げた途端、足に激痛が走る。
構わずベッドから降り、足を引きずるようにしてドアへと向かった。
体が、鉛のように思い。
崩れそうになる足に鞭打って、必死で歩を進める。
だがおもうように力が入らず、宵の体はその場に崩れ落ちた。
「宵!」
その時、晃の声が響いた。
宵がベッドを抜け出す気配に目を覚ましたのだろう。
晃は宵に駆け寄り、宵の背に右腕を回して支えた。
「ちゃんと寝てなきゃダメだろう? 打たれた薬のせいで四十度近い熱が出てるんだ! 怪我もひど……」
そこで晃の言葉は途切れる。
宵が虚ろな瞳で自分を見つめていた。
「……何があったか、ちゃんと覚えてる?」
「手術……」
うわごとのようにつぶやいて、ドアの向こうに視線をやる。
晃は宥めるように、何度も宵の背をさすった。
「あの人なら大丈夫だ。手術は昨日、ちゃんと成功したよ」
優しい声。
宵の体が、ホッとしたように弛緩する。
良かった。志穂は無事だ。
安心した途端、強張っていた体から、力が抜ける。