Memory of Night
第12章 吐露
そうして晃の手の冷たさに、ようやく気がついた。
背から伝わる体温が、ひんやりしていて気持ちいい。
やはり自分はかなり熱があるのだと自覚し、顔を上げた時だった。
晃の胸辺りで、何か白いものが目の端をかすめた。
宵の動きが止まる。目を凝らすと、それは包帯だった。
自分を支える晃の右腕。その横に、包帯でぐるぐる巻きにされ胸の辺りで固定された晃の左腕があった。
「……その腕……」
「ん? ちょっと転んだだけだよ」
晃はなんでもないことのように笑っている。
「嘘だろ? どうせアイツらに……っ」
晃の人をはぐらかすような笑みに、ひどく腹が立った。
宵は気を失う寸前、確かに晃の声を聞いた。
きっと晃が、自分をあの場から助け出してくれたのだ。
左腕の怪我だって、その時負ったものに違いない。
「なんで……」
「君が病院に来なかったから。探しに行ったんだ。志穂さんの顔を見にこないはずはないと思ったからさ。そうしたら裏通りで中身の微妙に入った注射器を見つけて、嫌な予感がして……」
晃は笑みを消さないまま、宵を見つけた経緯を説明する。