Memory of Night
第12章 吐露
表情を変えずたんたんと。
「違う! そんなこと言ってんじゃねえっ!」
宵は声を荒げた。
自分の背にまわされた晃の腕を乱暴に振り払う。
支えを失い、わずかによろけたせいで左足が痛む。
それでも必死に晃にくらいついた。
「なんで、余計なことばっかするんだよ! 助けてくれなんて誰も頼んでねーだろ!? そのせいでそんな怪我……っ」
声を張り上げると、喉が痛んだ。同時に頭にも響いて頭痛がした。
「俺の怪我なんて大したことない。それより君の怪我の方がずっと酷いだろう? 宵、おとなしくベッドに戻れ」
再度伸ばされた晃の手に、左手首を掴まれた。
「触るな……っ!!」
逃げるように体を引く。
ふらつく体で何歩か後ずさると、背が壁に当たった。
がむゃらに腕を振っても、晃の手はほどけない。それどころかより一層強く掴まれ、手首が痛む。
「宵!」
「……っ」
怒鳴られ、宵はびくんと身を震わせた。
手首に食い込む晃の指が離れる。
晃は宵の体を自分の体と壁との間に挟み込み、宵の首に右手を添えた。