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Memory of Night

第12章 吐露


 添えられて、初めて気付く。

 首には金髪男に絞められた痕がくっきり残っていた。

 みみず腫れのようなその痕を、晃の指がなぞっていく。

 なぞられる度に、かすかに痛む。


「……んで……」


 晃の口から、押し殺したような低い声が洩れる。

 晃は不自然なほどうつむき、うなだれるように瞳を伏せていた。

 宵の首に添えられた手が、わずかに震える。

 そして唐突に、勢いよく顔を上げた。


「なんで言うことを聞かないんだ! 君は死にかけたんだぞ!? あと一歩駆けつけるのが遅かったら、ヤツらに殺されていたかもしれないんだぞ……っ! なんでそうやって無茶ばかりするんだ! 心配ばかり……」


 そこで晃の言葉は途切れる。

 宵に向けられた晃の瞳は、悲痛な色を帯びていた。いつもの、見慣れた優等生の顔ではなかった。

 その表情が、宵の鼓動を早める。痛いくらいに。

 強い視線と剣幕に圧倒されて、宵はつかの間何も言えなかった。

 それでも沈黙を振り切り、叫ぶ。


「おまえには関係ねぇ! 俺が死んだって、そんなの……ッ!」


 最後まで言わせてはもらえなかった。

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