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Memory of Night

第12章 吐露


「……ふっ……んッ」


 気がついたら口付けられていた。

 宵が驚きに目をみはる。

 首に触れていた晃の指が、いつの間にか顎を捉えていた。宵の顎を片手で固定し、唇を押し付ける。

 いきなり何をするのかと、晃の胸を突き飛ばしてやろうと思った。

 けれど、胸の前には怪我をした、包帯で巻かれた晃の白い腕があるのだ。

 手を出したらその腕を傷つけてしまいそうで、宵は代わりに晃の右腕を掴んだ。

 後ろは壁。逃げられない。

 自分の体から引き剥がそうともがくけれど、晃の体はびくともしなかった。

 晃だて片腕を怪我している状況は同じなのに、右手一本でいとも簡単に宵の自由を封じてしまう。


「う、んう……っん」


 いつになく乱暴なキスだった。まるで、何もかもを奪い取ろうとしているような。それでいて、自分の思いをすべてぶつけようとしているような。

 キスはすぐに深くなる。歯列を割り、晃の舌は容赦なく口内を蹂躙しようとする。

 宵は首を振り、必死であらがった。

 押し付けられた背中が痛む。

 息が苦しい。唇を塞がれ、うまく呼吸ができない。

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