Memory of Night
第3章 秘密
怒って帰ろうとする宵の背に、真剣な顔で呼びかける。
「宵くん。あんまり……危ないことはしないようにね?」
「『危ないこと』って? ああ、カツアゲとか? 平気だよ。そーゆうのはしてないから」
笑顔で答える宵に、弘行はそうか、と呟いた。
宵の口ぶりは、どこか人をはぶらかすような言い回しが混じっているところがある。
気にはなったが、これ以上聞いても多分まともに答えてはくれないだろうと思い、聞かなかった。
「じゃあ、また来るから」
宵がドアの前で、軽く頭を下げる。
「うん。またね」
弘行もそれに笑顔で応え、宵は部屋から出ていった。