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Memory of Night

第13章 吉報


 それから数日間は、ずっと寝たり起きたりを繰り返しながら過ごした。

 定期的に看護婦や弘行がご飯を持ってきたり、点滴や包帯の交換などで部屋を訪れる。

 それ以外は、ずっとベッドの上で白い天井を眺めながら過ごした。

 入院生活が始まり、一週間ほどたった頃。


「宵くん! 許可おりたわよ、許可!」

「え?」


 突然慌ただしく病室に飛び込んできた看護婦が、嬉々として言った。


「許可って?」

「何言ってんの! あなたのお母さんに会ってもいいっていう許可が先生からおりたの!」

「本当に?」


 瞳を見開きベッドから跳ね起きた宵に、看護婦はにっこりと微笑み、壁に立てかけてあった松葉杖を宵に手渡した。

 それを受け取ると、腕に着いた点滴の管を外してくれる。


「腕大丈夫? 肩貸そうか?」

「大丈夫です」


 弘行の治療やマッサージのおかげか、右腕の感覚は随分と戻ってきている。

 痛みはなくはないけれど、激しく動かさなければたいしたことはなかった。

 看護婦に付き添われ固い木の感触をしっかりと確かめながら、宵は志穂の病室へと向かった。

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