Memory of Night
第13章 吉報
それから三日後。簡単な検査を経て、ようやく弘行から退院の許可が下りた。
「腕ももう大丈夫みたいだね」
「うん。もうすっかり」
「左足は?」
「少し痛むけどそんな歩かなければ平気」
「……そうか。もうほとんど骨はくっつきかけてるから、もうしばらく安静にしてなさい。あまり無理をするとまた腫れるからね。まだ少し様子を見たいから、三日に一度は病院に来るように」
「……はーい」
弘行からの事務的な話に頷き、宵は軽く肩をすくめた。
三日に一度の通院。せっかく退院できたのに酷く億劫な要求だ。
一応うなずきはしたものの、どうせレントゲン撮って軽く診察するくらいだろうし、バックレてしまうつもりでいた。
「それより先生。話って何?」
今、宵は弘行に応接室に呼ばれていた。
ソファーに向かい合って座り、テーブルにはお茶とお菓子(宵が明から受け取ったヤツを弘行におすそ分けしたものだが)が置かれていた。
こんなふうに応接室でお茶を出されたことは今までにもあったのだが、なんだか今日は心なしか、いつもよりも丁重に扱われている気がする。