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Memory of Night

第14章 聖夜


 ただ宵は時々自分を振り返り、何か物言いたげな視線を送ってくることはあったような気がする。

 それでも、自分から会いに行くつもりは晃にはなかった。

 宵の母親は、数日前に無事退院したという。一時期志穂の担当の看護婦であった母から晃はその情報を手に入れていた。

 志穂が退院したのなら、もう大金が必要になることはないし宵が自分をあてにすることもない。

 それに、宵には明を通して伝言を送ってある。その意味がわかれば、きっと会いに来てくれるはずだ。


(いや……どうかな)


 宵のことだから、素直にここに足を運ぶとは限らない。

 また変な意地を張って、伝言のことなど知らんぷりして逃げてしまう可能性だってある。


(まあいいか)


 晃は苦笑した。

 それならそれで構わない。また捕まえに行けばいいだけの話だ。

 晃は外から視線を外し、ベッドの端のタオルケットを手に取った。夏、掛け布団代わりに使っていたものだ。

 やはり窓を開けておくと寒い。それでもどうしても閉める気にはなれず、夢みたいに綺麗な星空をもう少し眺めていたかった。

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