Memory of Night
第15章 告白
「なんか……珍しいな。君から志穂さんの話を俺にするの」
「そうだっけ?」
指摘されてああ、確かに、と思う。
志穂の話は、今まで晃に聞かれるまでは話したことがなかった。晃だけじゃない。多分他の誰にも、自分から切り出したことなどなかった。
それなのに、晃の茶色い穏やかな瞳で見つめられると、なんの抵抗もなく言葉がすらすら落ちてしまうから不思議だった。
晃が、ふいに視線の位置を変える。
静かなトーンで告げた。
「志穂さん、宵のことが大好きだって言ってたよ」
「……知ってるよ」
宵は両足を投げ出したまま、腰掛けていたベッドの上にごろんと寝ころんだ。
陽光の眩しさに反射的に片目をすがめ、手の甲で瞳を覆う。
閉じた瞼の裏側に蘇るのは、ほんの数日間のうちに交わした志穂との会話と、志穂が弘行に引き取られていった時の言葉だ。
二人は当然のことのように宵を弘行の住む家に呼ぼうとした。それを頑なに拒んだ宵に、いつでも家に来ていいんだからね、遊びにおいで、そう言ってくれた。
大事にされてることぐらい――愛されていることぐらい、十二分に伝わっている。