Memory of Night
第15章 告白
「もういーよあの人の話は! てかおまえいつそんな話したんだよ、人のいねーとこで」
「まあ、いろいろありまして。……そんなに照れなくても」
「照れてねぇ!」
宵が肘で晃の左腕を突く。
その攻撃には一切の容赦がなく、もうほとんど治っているはずの骨折の場所にピンポイントでヒットした。
腕に鈍い痛みが走り、晃はわずかに顔をしかめた。
昨日は夜通しずいぶん左腕を酷使してしまっていた。そのつけが今になってまわってきたのかもしれない。
「わざわざ負傷していた左腕を狙うなんて、趣味悪いよ」
「もう治ってんだろ、化け物」
晃にふいっと背を向けてしまった宵に、可愛げがないな、なんてつぶやいてみる。
……そんなのはいつものことだから、特に気にはしてないけれど。
くすっと笑いながら、晃は腰を上げた。
自分のコーヒーカップはカラ。宵の手の中にあるカップも、同じくカラだった。