Memory of Night
第16章 終章
祭の夜、育てるのが無理なら捨ててしまえばいいとなんの躊躇もせずに言った時の宵の顔が、今でも晃の脳裏には染みついている。
晃は宵が集めてきた枯れ葉やら枝やらを自分の体の隣に置き、宵の手を掴んだ。雪でさらに冷たくなった手のひらを握りしめる。
「このままじゃ、君が早死にしそうで怖いんだ」
風が吹いた。
先ほどよりも強めの風が二人の髪をなびかせる。
こんなふうに思うのは、宵に新たに芽生えた感情のせいなのだろうということもわかっていた。
言葉の端々から顔を覗かせるのは、単なるエゴに他ならない。
「そう……なのかな」
沈黙の中、宵がつぶやく。
それから小さく苦笑をもらした。
「自分を二の次にしてる自覚なんてねぇけど」
言いながら、晃の手を握り返す。
志穂のためとはいえ、自分を痛めつけるような生き方をしてきた自覚はあったから。
「でも大丈夫だろ? だってあの人はもう先生んとこに……」
「だから余計に不安になったんだ」
「……なんで?」
晃は握っていた宵の手を引き、隣に座るよう促した。
黙ってそれに従う。