Memory of Night
第16章 終章
「優先順位は、いつだって自分でいいよってこと」
囁いて、晃は笑みを浮かべた。
宵は呆けた顔をしている。間の抜けた顔もそれはそれで可愛い。
しばらく眺めた後で、晃は再び雪だるま作りを再開することにした。
宵が拾い集めてきた小道具で、まず目や鼻、口を作る。
枝を手の代わりに一段めの雪の上の方に差し、小さい石三つを縦に並べて銅の部分に埋め込む。
枯れ葉で帽子のように飾り付けをし、ようやく完成した。
「意外とそれっぽいじゃん」
「即興で作ったにしては上出来だろ?」
覗きこんでくる宵の髪を梳きながら、晃は得意げに笑った。
手のひらサイズよりも一回りほど大きな雪だるまは、二人に向けていびつに微笑んでいる。
「宵にあげようと思ったんだけど」
「……持ち上げたら崩れるだろ」
「確かに」
仕方なく、この場に置いて帰ることに決めた。
「そろそろ行くか。もうすぐ十時半になるし、歩いてるうちに店も開くだろう。久々にデートしよう?」
「いいけど。どこ行く気だよ?」
二人で立ち上がり、宵が時計に目を向けようと顔を上げる。
だがその視線がふいに止まった。