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Memory of Night

第3章 秘密


「だからさ宵。俺のものにならない?」

「……は? ……なんだよ、そのモノって」

「だからガラスケースに」

「入るか……っ」


 怒鳴って、宵がそっぽを向く。

 人のことを人形扱いするなんて、絶対におかしい。何を考えているんだと思う。

 宵の反応に、晃はふっと笑った。


「冗談だよ、ガラスケースってのは。もうすぐ夏休みだろ? だからその間だけ、俺の相手をしてほしいってこと」


 晃の、相手。

 その言葉に、心臓がドクンと音を立てたような気がした。

 晃の相手をしたら、またあの時みたいに乱れてしまう。あんな自分を晒すのは嫌だし、晃としている時の自分は変だった。

 頭の中がおかしくなりそうなほど感じてしまっていた。

 それに今だって、手に触れられただけで、耳もとで囁かれただけでこんなにも体が熱くなるのに。


「一度ヤったヤツとは、もうしねーって何度も……」


 目を背けようとする宵の腕を、晃が掴む。

 宵は晃に視線を戻した。

 強く掴まれたわけでもないのに、宵にはその手を振り払うことができなかった。手を引っ込めることができない。

 不思議な、金縛りのようだった。

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