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Memory of Night

第3章 秘密


 晃から、目を離すことができないでいる宵に、晃は声を落として言った。


「金が必要なんだろ? 君が俺にちゃんとご奉仕してくれるなら、君のお母さんのための金、俺が全額払うよ?」


 きっぱりと言い切る晃に、宵が目を見張る。


「そんな簡単に払える額じゃねーよ」

「いくら?」

「……百十二万」

「なら平気だよ」


 相変わらずあっさりと、晃は言ってのける。


「平気って……」


 そんな高額、高校生の晃になぜ払えるのだろう。

 けれど宵がその質問をぶつける前に、晃は「ただし」と言葉を続けた。


「夏休みの間だけでいい。君が俺のものになって、俺に尽くしてくれるなら、その額はちゃんと払うよ」

「尽くす……?」


 晃は宵の腕を掴んでいた手を放し、ゆっくりとした動作で宵の顔を指さした。


「その顔と」


 その指を、喉もとに下げる。


「声と」


 そして胸もとへ。


「体でね」

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