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Memory of Night

第3章 秘密


 自分がとても卑怯な言いまわしをしていることは、晃も充分承知していた。

 少し、罪悪感もある。

 宵はきっと、志穂のことを持ち出されれば嫌とは言わない。逆らわない。

 なんとなくそんな気がした。

 少しの間だけでいい。何度か宵の体で遊ぶことができたら、きっとこの執着は消えるはずだ。

 ……宵のことは好きだった。

 だがこんな好きの相手なら、今までにだってたくさんいた。

 どれほどその人にハマッていても、その時は執着していても、何度か肌を合わせるとあとは興味をなくしてしまうのだ。

 宵もそうだ。

 きっとすぐに飽きてしまう。

 だから、体だけ与えてくれればいい。

 少しの間。体だけ。

 今の欲求を満たすためなら、いくら出しても別にかまわない。


「……あんたは、いいよな」


 ふいに宵が呟いた。晃は宵を指していた手を下ろした。


「自由に使える大金がある。頭だっていいし、運動だって、それなりにできんだろ?」

「宵だって、勉強も運動もそんなに悪くないだろ?」

「フツーだよ」

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