Memory of Night
第5章 玩具
「……こんなとこでして、誰かに見つかったらどーする気?」
「大丈夫だよ、すぐ終わる。今日はセックスはしないし」
「?」
ではなんのために晃は自分を呼び出したのだろう。
晃がマットの上に片膝を乗せ、宵に迫るように身を乗り出す。
宵が思わず逃げるように身を引くと、晃は体育着のポケットに手を入れ何か取り出した。
そしてそれを見せるように宵の前で手の平を開いた。
「……!?」
その黒い物体を見て、宵はその場に凍りついた。
「な……なんでそんなもの……ッ!」
思わず晃を睨みつけてしまう。
晃の手の中にあるものは、親指を二本合わせたくらいの大きさのローターだった。
それと一緒にリモコンも取り出す。
「宵は使ったことない? こういうの」
「あるわけねーだろ!」
使ったことはない。……でも、使い方なら知っている。
「そんなもの、使う必要なんかねーだろ!? ヤるならおまえが……ッ」
「あれ? 言わなかったっけ?」
晃は白々しく、首を傾げてみせた。