Memory of Night
第5章 玩具
「俺は君の顔が好きなんだって」
「……言ってたな」
宵が呆れたように目を細める。
今までも、容姿を褒められることは何度もあった。
けれどもここまできっぱりそれだけが好きだと言われると、むしろ清々しい。
「あと、君の泣き顔や感じて乱れた姿を見るのも好きだって。こういうおもちゃを使ってみるのも、結構おもしろそうじゃん」
「サド……ッ」
前に一度、言った覚えがあるような言葉をぶつけてみる。
「宵がそういう顔してるんだよ」
「人の顔のせいにすんな。おまえの趣味が悪いだけだろ!?」
「宵だって、かわいい子とか見つけるといじめてやりたくならない? 明(あかり)ちゃんとかさ……」
「なんねーよ……」
どんな子を見ても、少なくとも、いじめてやりたいとは思わない。
「だいたい、なんで明が出てくるんだよ?」
明は、宵のクラスで学級委員を努める女子生徒だった。
「……ふーん。呼び捨て?」
晃の目がスッと細められる。
「ずいぶん仲良さげに話してただろ? 夏休み前とか」
「はあ?」