Memory of Night
第5章 玩具
仲良さげに、というか、明は基本的に誰とでも仲がいい。
面倒見もいいから、確かに夏休み前とかは宿題や提出物の範囲を聞いたりもした。そうすると必ず丁寧に、量が多いものやページがとんでいるややこしいものは、わざわざ紙に書いて渡してくれる。
でもそれだけだ。名前だって、明が最初の自己紹介で名前で呼び合う方が慣れていると言っていたからそう呼んでいるだけたった。
「宵は俺のものだろ? 他の子と仲良くするなよ」
「仲良くって……。明は誰に対してもあんな感じだぜ? それに、俺があんたのものになるって言ったのは夏休みからじゃん。その前のことなんてどーでも……」
「よくない。……言い訳ばかりしてる悪い子には、お仕置きが必要かな」
「……!?」
おしおき……。そのセリフを晃が言うと、はっきり言ってシャレにならない。
不気味さを漂わせた笑顔が怖い。
「ふ……ざけんな……!!」
宵は、自分に伸ばされる晃の手を手の甲で叩いた。
マットを下り部屋から飛び出そうとする。
だが、ドアに手をかけた瞬間、晃に腕をつかまれた。