Memory of Night
第5章 玩具
晃が宵の手をほどき、宵の体から離れる。
でも宵は、抵抗しようとはしなかった。
「……ずるい、ヤツ……」
伏せめがちな目で呟いて、それから顔を上げる。
真っ直ぐに見つめてくる宵の目は、自分の意思を突き通すような強さがあって。晃は背筋がゾクリとするのを感じた。
さっきまでの微かな罪悪感はなりを潜ませ、宵を屈服させてみたいという欲望が顔を覗かせる。
それはひどく狂暴な気持ちで、自分でも、どうしてこんな気持ちになるのかわからなかった。
ただ、いつも強情な態度しか見せない宵だからこそ、そういうものを突き崩して、もっと奥にある弱い部分を見てみたい。
そう強く思った。
「宵」
宵の体をマットに再び押し倒し、上から覗きこむような体勢で呼ぶ。その声は、自分でも不思議なくらいに冷淡なものになった。