仔犬のパレード
第3章 首輪
ーー**ーー
潤「こう?」
翔「そう。痩せて骨が出てるから、気を付けてな」
潤「うん。わかった」
あの日
智がこの子を潤に看させたら。って話をしてきた日
俺は、潤に話をした
結局、俺は智には逆らえない
あーなったら梃子でも意見曲げないし…
潤の生い立ち。且つ 反抗期真っ只中
死にそうな人間の世話をしてくれ
なんて事をすんなり承諾する訳はないと思っていた
でも
蓋を開けてみれば
潤『……やる』
この子に会わせた後
少しだけ間を空けて返ってきた返事
だけど、その声には迷いが無いように感じた
あれから3日
部屋に引きこもり気味だった潤は
何かっちゃ、この部屋に居るようになっていった
…
……
これってさ…
潤「翔?」
翔「え?…あ、悪い。次は…えっと…
ここな。踝もずっと同じ場所がベッドに当たったままになってると、腐るらしいから、2、3時間おきには向きを変えてやって」
潤「へぇ…わかった」
この子……ハチ。いや、和也
智は、頑なに本当の名前を呼ばない
だから、俺が本当の名前を呼ぶわけにはいかず、潤や雅紀の前では、その子つったり、この子つったり、ハチって呼んだり
でもさ俺はね
俺は呼んであげたい
本当の名前を…
…智の気持ちも、なんとなくだけど
分からないでもないけどさ…
あ、で。和也は
変わらない。変わらず目を覚まさない
水分が身体に入って、多少潤った気はするけど
意識が戻らない分にはなぁ
食わせるわけにはいかないからさ
…
……
なぁ和也
お前、生きたいんじゃねーの?
ちげぇの?