仔犬のパレード
第5章 里
サトシの背後から出てきた影
『、…』
真っ黒のコートを羽織り
頭部は何かを隠すようにフードで覆われる
『ぁ………
ぉれ……ぉレは……ま…』
そこから聞こえてくる
低くぶつぶつとした声
━ナニ…
『ヤメ…………めんなさ……
…そ、な……どうして…』
きっと、行き交う人々からは
この影…男の顔は見えないなだろう
『ショウ、ここに足乗せるんだとよ』
サトシは、そんなのいつも通り、普段通りとばかりに、靴磨きをゴリ押す
『………なん………なんで…
俺……が………ちがぅ……』
地面に腰を下ろしているNo.224からは
その顔がしっかりと見える
━…ナンダ
蒼白い痩けた顔
窪みを通り越し、飛び出し血走った眼球
噛み切ったのか、血の付いた唇
筋が浮き出た首
━…ナンダ コレ…
これが
No.224 と智、そして翔との出逢いだ