仔犬のパレード
第3章 首輪
翔「点滴。無くなりそうになったら教えて」
潤「うん」
そこまで説明すると俺は部屋を出るためにベッドから離れる
身体の向きを変えて、今は右側を向く和也
潤は、丸椅子をベッドの右へと移動し、そこに腰を降ろした
…これって
これって完全に
はまったんじゃね?
向かい合う様に、視線を合わせる様に
ベッドに頬を付けた潤
表情は、仏頂面だけどいつもよりも遥かに穏やかに見えた
パタン。とドアを閉めて部屋を後にする
全くもっての予想外
こんなにも 効果覿面だとは
…
……
つーか逆に怖い
何かが起こりそうで…怖い
そんな事を考えてしまった俺は
ふるふると頭を振る
やめよ。考えたって頭が痛くなるだけだ
そう、俺にはまだまだやるべき事がある
まずは…昼飯か
そろそろ作り始めないと間に合わない
殆どの家事と雑用を智に任されている俺
和也が来てから
俺のやるべき事は倍以上に増えた
和也に必要な医療機器はこの家にはあまり無い
と言うか、ほぼ無い
目を覚まさない和也が過ごすのは、硬く薄いベッドの上
只でさえ栄養状態の最悪な身体
少し目を離せば、圧迫された その骨ばった皮膚は赤くなる
そのままにしておくと腐るらしくて、夜中にも世話が必要だった
そんな状況になったからこそ、昼間の和也の世話を潤が引き受けてくれて、後付けだが心底ホッとしていたりする
でも、流石に夜はさ
心が不安定な潤の睡眠時間は取りたくない
だから…
ここ数日俺は寝不足で
少し疲れていた