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仔犬のパレード

第3章 首輪






翔「入るぞ」


そっと開けたドアの先


智の言うように潤は、和也の部屋に居た



前と同じ様に和也が向いている方に椅子を置いて、そこに座っている



でも
前と違った…いや、違和感を感じたのは


潤「、」


ほんの一瞬だけど、潤が驚いた表情をした

…様な気がした


翔「…ゼリーできたぞ」


潤「ぁ…うん…」


翔「あっちで食うか?」


潤「……此処で食べてもいい?」


翔「あぁ。テーブルに置いとくな。
ハチの分も持ってきたから、ハチが…食べられなそうだったら、潤 食べちゃいな」


潤「………翔」


翔「ん?」


潤「……ぁ……りがとう…」





翔「ふふ…礼を言う相手は俺じゃないよな?」


潤「………」


く。とへの字に曲がっちゃった唇


翔「智。潤に礼なんて言われたら、溶けっかもよ?」


はは。と冗談混じりに笑って言えば


潤「……それがうざいんだょ……」


ぼそ。と悪態


智への態度

思春期特有なのか
だから仕方がない事なのか
反抗期はあって良いもんだって言うけれど…


困ってないって言ったら嘘になるし
どう対応すべきか、俺にはわからない


それに此処には

本来ならそれを受け止めてくれる
母親も父親も居ないから


でも…


それでも…


こんな俺でも役に立てたらって
そう思ってる


翔「言いたいこと、言っていいんだからな」


潤「………」


まだあどけない。けれどパッチリと開かれた大きな瞳が俺を見る


翔「ゼリー。言えたんじゃん」


何が、そうさせたのかわからないけど
潤の中で、何かが動いた。そうだろ?








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