
仔犬のパレード
第3章 首輪
智「雅紀ー。ゼリー食うかー?」
雅紀「うん。食べるー」
智は、俺をキッチンへ置いて離れていく
智の分と雅紀の分のゼリーだけ持って
広間の真ん中にあるソファーへと歩いていく
智「翔」
翔「…え…何…」
智「潤。ハチの部屋に居るから
ゼリー持っていってやって」
翔「え?…なんで俺?」
智が頼まれたんだから
智が持って行きゃいいだろ
あんなに嬉しそうにしてたんだから…
智「頼んだよ」
翔「…、」
頼んだよ。とその瞳を細め俺の顔を見据える
口角はクイ。と上がり意地悪そうに笑っているけれど
いつもの智とは違う
…
なに
なにか…あんの…?
雅紀「ゼリー久々ぁ。美味しー」
智「ふふ。それは良かった」
ソファーの前に座って早速ゼリーを食べ始めた2人
ニコニコと笑う雅紀
ヘラヘラと笑う智
俺は…というと
キッチンの台に残った
3つの不揃いの器
潤と
俺と…
あとは和也
の…で良いんだよな
…
……
なんで?
和也はまだ食べられないはず
そりゃぁ…智がゼリーを人数分作ったのは
和也を1人としてカウントしての事で
いかにも智がやりそうな事だ
でも…
なんで俺?
やっぱり疑問はそこに戻る
トレイに乗せた2つのゼリー
潤と和也の分
結局、何が正解なのかには辿り着けなかった俺は
そのまま
トントン
と、和也の部屋のドアをノックした
