
仔犬のパレード
第5章 里
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ピッ…
ピ チョ…ン
薄暗い天井
そこから一定の間隔を経て
滴り落ちる濁った水滴
『…雨』
女。と言うには骨張っていて
男。と言うには線が細い
そいつは、鉄の混じった水滴を頬に受けたまま
俯せに横たわる
天気が崩れることは気圧が変わってきていたため
解ってはいた
けれど、閉鎖されたこの部屋では
どれ程の雨が降っているのかは解らない
ただ
内へ侵入してくる程の量である。ということは
理解した
『ぃっ…』
起きようとしたのか、そいつは上半身を浮かせ
が、直ぐに動きが止まり、パタと薄汚れた地面へ体を戻した
顔に
腕に
足首に
服で隠れている処もだろう
幾重にも重なる赤黒い傷に痣
語らずしても、それが動きを止めた理由であることは明白であった
