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ボーイフレンド♡~友情から恋へ発展していく物語~

第4章 ~中高生時代から大人時代~

さ、寒い・・・

ここへ連れて来られたときは、まだ日が差してて暖かかったけど、あれから何時間か過ぎて、だんだん薄暗くなり始めていた。

初(はじ)めは穏やかな表情だった男の一人が、だんだん苛ついてきているのが分かった。

「あの野郎・・・ 怖気(おじけ)づいて逃げたんじゃないだろうな?」

「奴が来なかったら、人質はどうします?」

「顔を見られたんだ。このまま帰らせるわけにはいかねぇだろ」

「やっぱり、…殺しちゃうんですか?」

「いや…待て。俺たちには”前科”があるんだ。事故死に見せかけて始末するさ」


サオリ、ここでこの人たちに殺されちゃうの?
まだやりたいこといっぱいあったのに・・・・・・
リョウちゃんと仲直りもしないまま死んじゃうの?

リョウちゃんに逢いたいよぉ~


「あんたには恨みはねぇが、ここで死んでもらおうか」

「お願い 家に帰して …あなたたちのことは誰にも言わないから‥‥‥」

サオリは、もう半泣き状態で男に必死で願った。
すると、男は希望を持たせるかのように提案した。

「じゃぁ、こうしよう。タイムリミットは、あと5分だ。奴が来るまであと5分だけ待ってやる」

あと5分・・・?

「俺は、やさしい男なんだ。痛みも苦しみもないようにひと思いに殺(や)ってやる」

どっちみち、寿命が少しだけ延びたけど。

「何にも怖がることはない。その後で奴も、あんたのところへ送ってやるよ」

やっぱり、死んじゃうのかな・・・

そう思っている間にも、刻一刻と時間だけが過ぎていき・・

「時間切れだ。残念だったな」

リョウちゃんは、来なかった。

「さぁ、ここから飛び降りろ」

真冬の冷たい海に飛び込んだら、確実に死んじゃうだろうな。
サオリは、初めて死の恐怖を感じた。

リョウちゃんと天国で逢えたら、素直に言えるかなぁ
「ごめんね、リョウちゃん」って・・・

ごめんね・・・・・・


その時、何度も自分を呼ぶ声が聞こえた。



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