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ボーイフレンド♡~友情から恋へ発展していく物語~

第4章 ~中高生時代から大人時代~

そうしている間にも、帰り時間が近づいてきて、HR(ホームルーム)が終わると、生徒たちは一斉に教室から出て行った。

「あ、リョウちゃん!」

早々と教室から立ち去ろうとしたリョウちゃんを慌てて引き止める。そして、「一緒に帰ろう」と言いかけたそのとき‥―――

「これからは一人で思い出したいから。もう少しで思い出せそうなんだ。だから、しばらく別行動にしよう」

と、きっぱり言われて「うん ・・・分かった」って咄嗟に応えたけど、今日一日、リョウちゃんが何となく余所余所しかった。

事件のことなんか一切、話そうとしなかったし、あまり会話もしなかった。いつもだったら、真っ先に話しかけてくるのに‥‥‥

「あ、そうだ」

リョウちゃんが、思い出したように振り返った。

「そういえば、”チビ”・・・もう家(うち)に戻って来ているから、心配しないでいいよ」

「え?」

「チビ」っていうのは、リョウちゃんが飼っている猫の名前で、記憶喪失になったリョウちゃんに懐かず、餌を与えても食べなかったらしい。
だから、しばらくの間はお家(うち)で預かって面倒を見ていたけど、いつの間にかいなくなってて、ちょうど探している最中だった。

『知らない人には懐かないんだけどなぁ』

って、前にリョウちゃんが言っていたので、ちゃんと元の居場所へ帰ったって聞いて安心した。


今日から毎日、一人で帰るのか‥‥‥

今までリョウちゃんが一緒にいるのが当たり前だと思っていた日常がもう来ないのかと思うと、急に寂しくなった。

もう、「恋人じゃなかった」って思ったから?
それとも、サオリがリョウちゃんを引っ叩いたから?

自分の靴に履き替えて外へ出ようとしたとき、

「あれ? サオリちゃん?」

って、声をかけられた。

振り返ってみたら、トオルくんが目の前に立っていた。



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