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take a breather

第27章 Turning Up

「翔くんとは、ゆっくり進んでいくからいいの」

『へぇ〜、前の彼は無理矢理襲おうとしてたのに?』

「襲おうとなんてしてないよっ」

『今回の旅行で既成事実作ろうとしてたんじゃないの?』

「そ、それは…
体を繋げれば、心も繋がるかなぁ…って思ったから…
でも翔くんとはもう心は繋がってるから…」

お互いが好きってわかってれば、急がなくても…

『心が繋がったからこそ、体も繋がりたくなるもんじゃないの?』

「うっ…それは、そうだけど…」

そりゃね、本心を言えば僕だってそうしたい
好きな人に抱かれるって、それだけで絶対にしあわせじゃない?

でも翔くんにその気がないのに、僕から迫って『やっぱり無理』って言われるのは怖い

慌てて行動を起こしたせいで、一番大切なモノを手離したくない

だから…

「翔くんと一緒にいられるだけでしあわせだから、多くは望まない」

『そう?智がそれでいいならそれでいいけどさ』

「うん。それじゃあ、そろそろ切るね
翔くん待たせてるし」

『はいよ…あ、智』

切ろうとしたら、ニノに呼び止められた

「なに?まだ何か…」

『まだ言ってなかった
おめでと、しあわせになりなよ?』

「うん…ありがと、ニノ」

電話の向こうから聴こえるニノの優しい声に、胸がジーンとしちゃったよ

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