テキストサイズ

take a breather

第1章 Now or Never

「ほら、心配する必要なかったでしょ?カズ。
大野さんは翔ちゃんが選んだ人なんだから、間違いないよ」

カズくんは頷くと、俺に向かって頭を深々と下げた。

「大野さん、翔ちゃんのことよろしくお願いします」

俺もカズくんにならって深々と頭を下げた。

「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

「なんか娘を嫁に送り出す父親と婿みたいだね」

雅紀がおどけてそう言うと、カズくんが当然とばかりに言い放つ。

「そうだよ。俺、翔ちゃんの保護者だもん」

「そう?どっちかと言うと、カズが翔ちゃんの世話になってた気がするけど?」

「うっ、それは、まぁ…そうだけど…」

「そんなことないよ、カズ。
俺もいーっぱい世話になってるし、感謝してる」

翔くんがカズくんに微笑むとカズくんは立ち上がり、翔くんに抱きついた。

「翔ちゃ~ん、やっぱり大野さんと付き合うの止めて俺と付き合お?
翔ちゃんと離れたくないよ」

なんとっ!カズくん、まさかの翔くん狙い⁉
だから男同士の付き合いもすんなり受け入れた?

翔くんもカズくんの方がいい、なんて言い出したらどうしよう…
ドキドキしてる俺の横で、翔くんはクスクスと笑ってる。

「そんなことしたら、俺が雅紀に殺される」

「ふふっ、大丈夫。殺しはしないよ?俺にとっても翔ちゃんは大切な幼馴染みだし。
でも、そんなこと言っちゃうカズにはお仕置きが必要だね?」

そう言った瞬間、カズくんはガバッと勢いよく翔くんから離れた。

「冗談だからね?まぁくん」

不安そうな顔で雅紀を見るカズくん。

「ふ~ん、そう。ま、いいや。後でゆっくり話そうね?」

ニコッと笑う雅紀に対し、カズくんの顔は少しひきつった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ