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take a breather

第8章 rolling days

朝食を食べてる時も出掛ける準備をしている時も翔さんはずっと嬉しそう

いつも笑顔を絶やさない人だけど
ここまでご機嫌なのも珍しい
そもそもこんなにご機嫌な理由はなんなんだ?

昨夜の落ち込みから立ち直ってくれたのは良かった

でもここまでの変わり様だとそれはそれで気になる…

「翔さん…」

ネクタイを締めている翔さんに声を掛けてみる

「ん?なぁに?」

なにかを期待しているかのようなニコニコの笑顔で俺を見る翔さん
その笑顔が可愛い過ぎてドギマギしてしまった

「あ…いや…その…」

「?どうしたの?」

小首を傾げる仕草が可愛らしさに輪を掛ける
思わず見とれていると翔さんが不思議そうな顔をした

「智くん?」

「あっ、きょ、今日俺バイトだから帰り少し遅くなる
ハヤシライス作ってあるから
お腹空いちゃったら温めて先に食べてて」

聞こうと思っていたことと違う事を口にした

「ハヤシライスかぁ、やったね!
でも智くんと一緒に食べたいから待ってるね?」

「うん、わかった…なるべく早く帰ってくる」

「慌てなくていいよ
無事に帰ってきてさえ来てくれればいいから」

「うん」

「あ、そうだ。バイト先出る時に連絡頂戴?
ハヤシライス温めておくから」

「わかったLINEする。ありがとね」

「僕でも智くんの役に立つことあるでしょ?」

「そんな言い方しないでよ
俺は翔さんが居てくれるだけで十分なんだから」

「あ、うん…」

頬を薄っすらとピンクに染め
ヤケに翔さんが恥ずかしそうに頷いた

あれ?俺 何か変なこと言った?

そんなやり取りをしていたらいつの間にか翔さんが出掛ける時刻を過ぎていた

「翔さん時間!」

「あっ!ホントだっ!それじゃあ先行くね」

翔さんは慌てて鞄を手に取り部屋を飛び出して行った

「ふぅ…」

一息ついて自分も出掛ける準備…

「あ…」

翔さん、弁当忘れてるよ…

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