テキストサイズ

take a breather

第8章 rolling days

「何だお前?ここで何してる」

一瞬だけ驚いた表情を見せた松本先生が すぐに冷静さを取り戻す

「あ、さと…大野くん」

笑顔で翔さんが出迎えてくれるのは嬉しいんだけど

松本先生の問いにどう答えればいいんだ?
まさか翔さんの弁当を届けに来た、なんて口が裂けても言えない

「え、と…偶々通りかかって…」

「偶々?ここにか?」

疑いの眼差しで俺を見る

そりゃそうだ…
昼休みに特別教室しかないこの棟の しかも最上階に偶々来る奴なんかいるはずない

ジロジロと俺を見る松本先生の視線がある一点で止まった

「そのバッグ…」

視線の先には二人の弁当が入ってるランチバッグ

「それ…櫻井先生がいつも持ち歩いてる物だよな?」

「あ…」

そんな所までチェックしてるのかよ

「お前が毎日 櫻井先生の弁当作ってるのか?
いや、そんな事 あるはず無い…
あれは単なる噂…
櫻井先生も恋人はいないと否定したんだから」

ブツブツと独り言の様に呟く松本先生

『あの噂』って、相葉ちゃんが言ってた『弁当を作ってくれる恋人が出来た』ってやつだよな

それは間違いだけど、でもどう説明すればいい?

松本先生は俺と翔さんの同居を知らないんだよな?

ふたりの関係を知ってるのは上の方の先生たちとクラス担任ぐらい

この場合は変に疑われるよりも真実を話した方がすんなり丸く収まるのか?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ