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take a breather

第12章 Step and Go

翌日、ようやくショウに会えると思うとソワソワしてしまい
オープン前に店を訪れた

『close』の札が下がるドアをそっと開ける

「いらっしゃい、大野さん
随分と早い来店ですね」

オープン前にもかかわらず
爽やかな笑顔で俺を迎えて入れてくれた
この爽やか好青年がカズのこと抱き潰すんだから人は見かけによらないよなぁ…

「カズは?大丈夫なのか?」

カウンター席に座りながらグラスを磨くマサキに尋ねた

「はい。家で一日中ゲームが出来るって喜んでましたよ」

「ならいいけど…
で?ショウは来るのか?」

「朝のうちに連絡してオッケー貰ってます
仕事が終わり次第来てくれるそうです」

「仕事って何してるの?」

「さぁ、そこまでは…
ショウのプライベートは殆ど知りません
酔った時にカズが少し聞き出したくらいで
昨日お話した事が全てです
それでも傷ついてることは十分わかったので
カズも気にしていたみたいですけど
俺たちにはどうしてやる事も出来ませんからね…
だからカズも賭けてみたくなったんじゃないですか?大野さんに…」

「俺に?」

「あれだけ人の事に無関心だった大野さんが10日以上追い続けるなんて
カズにしてみれば天変地異だったんでしょう
賭けてみる価値はあると判断したって事です」

やっぱアイツ、口は悪いけど世話焼きだよなぁ…

その思いに応えさせて貰うよ
ショウの事を傷つけるような事だけは絶対しないから

そう心に誓った時…待ちに待った時が訪れる

「こんばんは」

ドアの開く音と共に
少し低めのハスキーボイスが聞こえた

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