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take a breather

第12章 Step and Go

ショウがピアノへ向かって歩いていくのを確認しカウンター席へ戻った

「はい、どうぞ…」

マサキが俺の前にカクテルを置く

「何これ?飲んだことないけど」

「スレッジハンマーです」

「今の俺に相応しいって?
で、意味は?」

「『心の扉を叩いて』」

マサキが優しく微笑む…

言わんとしてることはわかってるよ

カクテルに視線を落とし、昨日カズに言われた事を実行する

俺はショウの事をどう思って
どうしたいのか…

グラスを口に運び一口飲んだ

「うん、美味い…
今の俺には最適だな」

考えるまでもなく とっくに答えなんて出ていた

あの日からショウの事を想い続けていた時点で
俺の心はショウに囚われてるんだから

「それは良かった…
きっとカズも喜びますよ?
『俺の腰痛が無駄にならなかった』って」

「だな…」

さて、ここからが問題だ…

どうやったらショウは心の扉を開いてくれるかなぁ

店内に流れるピアノ曲を聴きながら糸口を探す

「あまり難しく考えなくてもいいんじゃないですか?」

「え?」

「眉間にしわ寄ってますよ?」

「あっ」

手のひらで額を覆った

今まで相手の心を開こうなんてした事ない…

考えても考えても答えの出ない
超難問にぶち当たった気分だ

「難しく考えるなって言われても
全然わかんねぇんだもん
どうしてやるのがいいのか…」

「簡単ですよ…
辛抱強く待てばいいんです」

「待つ?ただ待てばいいのか?」

そんなんで心を開いてくれる?

「何もしないで、って事じゃないですけど…
焦らずにショウの事を想って待ってあげてください
そうすればきっとショウの方から寄ってきてくれますよ」

自信ありそうな口ぶり…

「もしかしてカズの事も待った?」

「えぇ、そりゃあもう…
なんせ元はノーマルですからね
落とすまでに相当な時間は要しましたよ」

なんかわかる気がする…あのカズだもんなぁ
相当手こずっただろう…

でも、だからなのかなぁ…カズの事 スッゲェ愛しちゃってるんだなぁ…って見てるだけで伝わってくるんだ

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