雪原に咲く椿
第1章 邂逅ーツナガリー
……もう、歩けない。
最初から無謀だった。行けるはずもなかった、東の果ては遠い。それとも、月白隊長には無鉄砲に映ったのだろうか。そもそも馬なんて持ってないのだから、結果は目にみえてる。
本当に馬鹿だな俺は……。
雪の上に寝っ転がって、天を仰いだ。白水色(はくすいいろ)の美しい空は冬にしか見ることのできない幻想的な泡沫の風景。そこに白い鳥を見つけることができたのなら、邂逅を果たせるって云うーーここにはさまざまな伝承が残されていて、子守唄のように聞かされて育つ。
そのため誰もが語れるのが自然なのだ。親から子、またその子が親になって延々と語り継がれるーー。
自分はどうなのだろう。
「……別にいいけど」
興味なさそうに呟いた次の瞬間、茫然と一点を見つめた。そこにいたのは頭上を天高く舞う、まっさらな鳥。鈴をふるような鳴き声を遠くまで響かせながら、次第に彼方へと消えていった。
こんな偶然ーー
「あるはずがない、っていうの?」
最初から無謀だった。行けるはずもなかった、東の果ては遠い。それとも、月白隊長には無鉄砲に映ったのだろうか。そもそも馬なんて持ってないのだから、結果は目にみえてる。
本当に馬鹿だな俺は……。
雪の上に寝っ転がって、天を仰いだ。白水色(はくすいいろ)の美しい空は冬にしか見ることのできない幻想的な泡沫の風景。そこに白い鳥を見つけることができたのなら、邂逅を果たせるって云うーーここにはさまざまな伝承が残されていて、子守唄のように聞かされて育つ。
そのため誰もが語れるのが自然なのだ。親から子、またその子が親になって延々と語り継がれるーー。
自分はどうなのだろう。
「……別にいいけど」
興味なさそうに呟いた次の瞬間、茫然と一点を見つめた。そこにいたのは頭上を天高く舞う、まっさらな鳥。鈴をふるような鳴き声を遠くまで響かせながら、次第に彼方へと消えていった。
こんな偶然ーー
「あるはずがない、っていうの?」