CAさんの秘密のお仕事
第1章 これが私のお仕事です
田中「…ふぅ」
奈穂「…」
隣に座りオレンジジュースを飲んだ奈穂
飲みながら話したいと言われたが
彼は話す気配がなく…
奈穂「…」
田中「ん、何?」
奈穂「えっ、いえ別に…」
田中「…」
奈穂「お酒、お注ぎしますね」
田中「ありがとう」
奈穂「…」
気にはなったが無理に聞く事は出来ない
もしかしたら自分を休ませる
口実だったのかも
奈穂「あぁ、美味しい」
田中「…」
そんな呑気な事を考えていると…
奈穂「…」
田中「…奈穂…」
奈穂「はいっ」
田中「僕、結婚してるんだ」
奈穂「えっ、そうだったんですね」
結婚してたと
突然のカミングアウト
だけどお客さんの情報は事前にある程度
聞いていたから既婚者の事も
本当は知っていた
田中「来年には待ちに待った子供が産ま
れるんだ」
奈穂「おめでとうございます、赤ちゃん
楽しみですね」
田中「…ぅんっ…」
奈穂「?」
子供が産まれるというのに彼の表情は
どこか暗く複雑そうだった
嬉しくないのか…
奈穂「嬉しくないんですか?」
田中「正直ね…」
奈穂「…」