テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第5章 さよならの恋人

ご飯を食べ終わり、風呂から上がると俺たちは各々の時間を過ごす。

元々俺たちはひとりで過ごしたいタイプだから、その辺は変わらないし、その時間は今でも必要だって思ってる。

でも離れることはなく、ソファーにピッタリとくっついて座ってる。


何やってても、互いの存在だけはずっと感じている。


「じゃあ、スっか?」

「それさ……もっと他に言い方、ないの?」

リーダーが釣り雑誌を閉じると、俺もスマホのゲームをやめた。

「今更じゃない?」

「まぁ、そうですけど……」

別に雰囲気を求めている訳じゃないけど、なんか軽いんだよね。


でもそれさえもリーダーらしいなって許している俺がいる。


「ほら、行くよ?」

先に立ち上がっていたリーダが俺に手を伸ばす。

「はーい……うわっ!」

手を差し伸べると想像以上の力で引っ張られて、そのままリーダーの胸に飛び込む形になった。

「ニノ……抱いていい?」

予想だにしていなかった言葉を耳元で吐息交じりに囁かれ、カッと身体が熱くなる。

「返事は?」

抱きしめられた身体が離れ、今度は可愛く小首を傾げてくる。


もう……コロコロ雰囲気を変えないでよ!

俺の心臓の鼓動は今にも爆発しそうなくらい早い。


「ふふっ、ニノが珍しく動揺してる」

「うっ、煩いっ!」

声を上げて笑うリーダーを引き寄せて口を塞いでやった。

「おー、積極的だね」

「もー、知らない!」

「ごめんごめん、ほら……行くよ」

顔をプイっと背けて拗ねてみたけど、リーダーは俺の手を取ると寝室へと向かって歩く。

それに素直について行く俺も俺だけどね。

「ほら、上脱ぐよ?バンザーイ」

「ちょっ、自分で脱ぐから」

服の裾を掴んで脱がそうとするから、慌ててその手を払い退ける。

「わかったわかった」

ガバッと勢いよく服を脱ぎ捨てるリーダー。


この瞬間、リーダーの雰囲気が変わってふざけられなくなる。

ドキドキが……止まらない。


これがきっと世間で言う、ギャップなんだろうな。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ