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まだ見ぬ世界へ

第6章 俺の名は

【?side】


?『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』

突然の叫び声が聞こえ、慌てて飛び起きた。

?『なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!』

そして目の前の俺がまた叫んだ。


ん?


待てよ……


俺……が?


?「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!……えっ?」

同じように叫んだ俺の声は俺じゃなかった。

?「ゴホン……あ、あ、あー、えー」

自分の声を確かめるってのも変だけど、咳払いしてからもう一度声を出してみた。

でもやっぱりそれは俺の声ではない。

そしてその声の主が誰なのかはすぐにわかった。


ちょっと高めの声で、優しく俺の名前を呼んでくれる。

特に昨日は酔っぱらったせいか、舌足らずになった喋り方がまた可愛かったんだよな。


って、そんな事を振り返ってる場合か!


そうだ。

一度、冷静になれ。

今の状況を整理しなきゃ。


?『どうしよう!ヤバい、ヤバいよ!』

目の前の俺は慌てふためいている。


その姿は俺だけど……俺じゃない。



じゃあ俺は……誰だ?



昨日は久しぶりに2人で飲んだんだ。

収録が終われば即帰るくらい家大好き人間で、誘ったって断られることはわかってた。

でも目で翔くんが『誘え』って訴えてくるから、ダメ元で声をかけたらあっさりOKを貰えて拍子抜けした。

急な誘いで家飲みになっちゃったけど、いつもよりテンション高くって……

何より嬉しそうな姿に俺も本当に嬉しくてお酒が進んだ。


今、気がついたけど……途中から記憶がねぇ。

ってか目の前の俺、上半身裸じゃん!


俺、昨日……何やったんだ?


まさか……

いや、そのまさかか?


くそっ、思い出せねぇ!


って、今はそんな場合じゃ……ないよな。


?『どうしよう、マジで……』

目の前の別の意思を持った俺の身体は今も頭を抱えてる。

俺の意思はここにあるんだから、俺の身体の中には別の意思があるって事。


そしてここには、昨日から2人しかいない。


?「ニノ……だよな?」

俺はニノの声で、そう呼んだ。

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