テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第2章 愛のカタマリ

「イテ…っ」


ドンッ…コトッ…


届り損ねた俺の手は紙袋の底をだけを引っ張って、中身が翔兄の頭に直撃した。

「あの……これって……」

追いかける目線の先にはコロコロと転がっていく透明な液が入ったボトル。

そしてその動きを止めたちょっと派手めな箱。

「アイツ……マジで絞めてやる!」

翔兄は顔を真っ赤にしてグシャっと紙袋を握りつぶしていた。


俺も色々と調べていたから、この2つのモノがどういう時にどうやって使われるかはわかる。

そして翔兄もこれを見て怒るってことは、この2つのモノがどういう時にどうやって使うかをわかってるってことだよね?


「とっ、取りあえずこれは……しまっておくな!」

慌てて拾い上げる翔兄の手を止めた。


また、潤が背中を押してくれたから……


「しても……ぃぃ…ょ」

「……えっ?」

驚いて顔を上げる翔兄の瞳がゆらゆら揺れる。

「いいの…か?」

俺はコクっと頷いた。

「あぁぁ、もう…っ!」

「うわっ!しょ、翔兄?」

わしゃわしゃと頭を乱暴に掻くと、俺の手を引っ張って立ち上がらせるとヒョイっと担ぎ上げた。

「こんな予定じゃなかったのに!」

ブツブツと文句を言いながら奥のドアを開けると、俺の身体はふわっとした場所に下ろされた。


ベッド……だよね?


「本当は色々と考えてたんだからな」

俺に覆いかぶさった翔兄が少しだけ不貞腐れている。


ちょっと……可愛いかも。


「でもきっと翔兄の事だから、上手くいかなかったんじゃない?」

「カーズ」

クスクス笑っている俺に益々膨れっ面になっていく翔兄。

「随分、余裕じゃん」

でもニヤっと笑った瞬間、ドクンと高鳴る鼓動。

じゃれ合っていた時とは違い、翔兄の纏ってる雰囲気と俺を見つめる瞳に色気を漂わせる。

「好きだよ、カズ」

「俺も……好き」


ピンポーン…


首に手をかけた瞬間、部屋に響き渡るインターフォンの音。

「ふふっ、やっぱり……決まんないね」

「うっせーよ」

ゆっくりと顔か近づき、唇が重なった。




ねぇ翔兄、気づいてないでしょ?

潤から貰ったの……持ってくるの忘れてるからね。


【end】

ストーリーメニュー

TOPTOPへ