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まだ見ぬ世界へ

第2章 愛のカタマリ

急に静かになった玄関に2人。

「悪かったな。ノリはあんなんだけど、良いヤツだから」

ポリポリと照れくさそうに頭を掻く翔兄。

「うん、大丈夫だよ」

「良かった。とりあえず、入って?」

「おじゃましまーす」

予想外に整理された部屋。

「あんまキョロキョロすんなって」

「えっ?なんで?綺麗な部屋じゃん」

「そうでもねーよ。昨日、雅紀に手伝ってもらって見える所だけは片付けたんだ」

苦笑いを浮かべクローゼットを開けると、色々な物が山積みに押し込まれていた。

「それだったら一緒に片付けるのに……」

頼ってくれなかった事に少しだけムッとした。

「拗ねんなよ。カズと一緒にいる時間を片付けに使いたくなかったんだ」


俺ってこんなにゲンキンなやつだったっけ?


その言葉と共に優しく頭を撫でられるて、あっという間に機嫌は直る。

「これからどーする?どこか、出かけるか?」

「……家が、いいな」


元々、出不精だし……

なんて言い訳を心で呟くけど、本当は2人で過ごしたい。

でも翔兄はアウトドア派だから出かけたいのかな?


「良かった……俺も同じ。じゃあ取りあえず飲み物、用意するから座ってな」

「うん!」

同じ気持ちってだけで、テンションが上がっちゃう。

「あっ、これ潤から預かってきた。引っ越し祝いだって」

お菓子かもって思って翔兄に紙袋を差し出した。

「おー、アイツも気が利くな。なにか……」

パッと開けて中を確認した翔兄の言葉は途中で止まり、そしてそのまま固まった。

「どうしたの?何が入ってたの?」

「これは、ダメだ!」

近づいて中を確認しようとしたら、慌てて背中に隠した。

「なに?見せて見せて!」

「もう、ダメだって!」

手をあっちこっちから伸ばして奪おうとしても、翔兄は巧みにかわして見せてくれない。

「ダメだって!」

俺より背の高い翔兄が高く掲げるから俺も意地になってジャンプして手を伸ばした。

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