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まだ見ぬ世界へ

第13章 正義のミカタ

「好きだよ」

コツンとカズの額に合わせ、至近距離で伝える。

『恥ずかしいん…ですけど』

目の前のカズは顔を真っ赤にさせて、伏し目がちになる。

「ほーら、ちゃんと俺を見て?」

その言葉にカズがゆっくりと顔を上げて、俺を見る。


ヤバい。

やっぱ、緊張するわ。


俺は大きく深呼吸して、気持ちを落ち着かせた。


「カズはね、俺の初恋の相手なの」

『…えっ?』

目を見開いて驚くカズに俺は苦笑いを浮かべた。

「いやさ……あの時はカズが女の子だって勘違いしててさ」

『嘘でしょ』

「だって、あの時のカズ……むちゃくちゃ可愛くってさ」


確かに今思い返してみたら、女の子とは程遠い。

でも可愛い=女の子に勝手に頭が変換していたんだろう。


ってか、実際に可愛かったし。


だだ性別関係なく『ヒーローみたいだね』って笑うあの子に幼い俺は恋をしたんだ。


『男…だよ、俺』

「知ってるよ?」

『ガッカリ……しなかった?』

不安なのかカズの瞳がゆらゆら揺れている。


ガッカリしてたら、こんな事……しないでしょ?


それを証明する様に再びカズの唇に俺の唇を重ねる。


「カズに出会って、それが初恋の子だってわかった時はビックリはしたよ?でもガッカリなんてしなかった」

ジッとカズは俺の言葉の続きを待っている。

「それにあの時も今も同じ。性別なんて関係ない。俺はカズが好きなんだから」

その言葉にカズが笑うと同時に、ポロっと目尻から涙がいくつも零れ落ちる。


その姿に可愛いやら、愛おしいやら。

ダメだ、俺……限界!


俺はギュッとカズを抱きしめた。


「よし!じゃあそれを……今日証明してやるよ」

『うわ…っ!』

カズをそのままヒョイッと持ち上げて、部屋へと入る。

「なぁ、寝室って……どこ?」

『しっ…寝室!』

足をばたつかせ、暴れるカズ。

「おいっ、あぶ……『うわ…っ!』」

バランスを崩して、俺たちはフローリングに倒れた。

「痛ってぇぇぇぇ」

もちろん俺が下になり、カズを守ってみせた。




小さい頃の約束。

『またなんかあったらまもってやるよ!』

それを今日もきっちり果たした。

【end】

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