テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第1章 それぞれのアプローチ

【松本潤の場合】


「…ズ、カズ……」

名前を優しく呼ぶ声と、軽く揺さぶられる身体に
ゆっくりと意識が浮上していく。

「ぅ…ん、潤…くん?おかえ…り」

「ただいま、起こしちゃってごめんね?」

優しい手つきで髪を撫でてくれるから、再び睡魔に引き寄せられていく。

「何か……あったの?」

寝ている俺を起こすなんて滅多にないから、何とか意識を保とうと潤に話しかける。

「んー、ちょっとね……」

ベッドの端にしゃがみこむと、俺の顔の近くで頬杖をして見つめてくる。

「どうしたの?」

片肘をついて身体を少しだけ起こし、潤と同じ目線になる。

「実は…さ」

潤が身を乗り出すと、チュッとキスをしてきた。

「えっ?」

「ずっとすれ違いだったじゃん?なかなか一緒に過ごす機会もなかったし……」

いつもはハッキリとした口調なのに、今日はふわふわしててなんだか猫なで声。


ふふっ、久しぶりの甘えたさんの潤。


会話の合間にもチュッチュッと、顔のあちこちにキスを落としていく。

「明日、久しぶりに俺もカズも休みでしょ?こんな機会、滅多にないじゃん?今度、いつになるかわからないし……」

コテッと首を傾げて見せる。

「ねぇ、シよ?カズ」

いつもはストイックで男らしい潤に、こんな風に可愛く誘われて断れる人が世の中にいるのだろうか?


いや、俺だけしか誘わないか……


「うん、いいよ」

返事と共にチュッとキスをした。

「ホント?ありがとう、カズ」

子どもみたいに目を輝かせながら、満面の笑みを浮かべる潤がまた可愛い。

「うーんと、愛してね?」

「当たり前だろ?寝かせないから……覚悟しろよ?」

ベッドに上がって俺に覆い被さると、ギラついた目に見下ろされる。


このギャップが何よりも堪んないんだよね。


恋人の俺だけが見れる特権。


「きて、潤」

潤の首に手を回すと、顔を引き寄せて半開きの口を重ねた。


今度は俺が可愛くなる番。


恋人の潤だけが見れる特権……だからね?


【end】

ストーリーメニュー

TOPTOPへ