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まだ見ぬ世界へ

第1章 それぞれのアプローチ

【相葉雅紀の場合】


パンッ…パンッ…


拍手?手拍子?

ぼんやりしていた意識がはっきりしてくると、その音も段々と大きくなっていく。


人が疲れて寝てるのに……

もう……煩いっ!


その音から逃れるため、布団を顔まで上げる。


「もう、起きて!」

ガバッと被せていた布団を声の主が奪い取った。

拍手もコイツの仕業に違いない。

「なんだよ、朝から煩いっ!」

「おはよ、カズ」

「おやすみ、雅紀」

ガバッと起きて来た俺に口を尖らせてチューをしようとしてきたので、持っていた布団を奪ってベッドに再び寝転んだ。

「えー、ちょっと待ってよ!」

「うげ…っ」

ドーンと布団越しに俺に被さってきたから変な声が出た。

「重いっ、どい…て!」

雅紀を引き剥がそうと肩を押すけど、ピクリとも動かない。

「いーや、ねぇ……しようよ~?」

「はぁー?無理に決まってるでしょーが!」

「えぇ、いいじゃん!今日は夕方からでしょ?仕事」


いや、それ『今日』の部分を『明日』に変えて昨日も言ってましたけど?


俺が『いいよ』って言ったのもあるけどさ……

これでもかってくらいシましたよね?


お陰で……あちこち身体が悲鳴をあげてます。


「いや、無理。疲れてる、眠い」

プイっとソッポを向くと、覆いかぶさっていた雅紀の気配がスッとなくなった。

「はい、頑張ろう!ほい、ほいっ!」

パンと再び手を合わせる音が聞こえた。

「もう煩い……うわっ!」

布団をはがされると、腕を引っ張られて無理やり起こされる。

「はい、脱がせるよー」

「ちょっと、待って俺は嫌だって……」

逃げようにも脚に雅紀が腰を下ろしていて身動きが取れず、あっという間に上半身の服が脱がされた。

「ホントに疲れてるから無理!」

「そう見えてるだけでしょ?ホントはやる気満々なくせに」

ベッドに押し倒さおされる。

「あんっ、違うっ!」

ペロッと胸の敏感な部分を舐めた時の俺の反応に、ニヤリと笑みを浮かべる。


もう……逃げれないな。


「仕事に響くから手加減してよ」

「はーい!」


わかってはいたが……

元気な雅紀の返事ほど信用ならないと身を持って知った。


【end】

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