テキストサイズ

まだ見ぬ世界へ

第4章 幸福論【登場人物】

【α性の男②】


「講義、マジだりーな」

大きな欠伸と伸びをして毎度毎度、同じことをほざく。


テメーはその言葉しか知らないのか?


「俺たちは『α性』なんだから勉強なんて必要ねぇっつーの」

わざと大きな声を出し、カフェで必死で勉強している人たちを見下す。


テメーの方が頭わりーの知らないのか?


俺の周りにいるどいつもこいつも事あるごとに自分は『α性』だと豪語する。


それがなんだって言うんだ?

そんなにお前らは偉いのか?


親が『優秀なα性』だから優遇されているのに、それはまるで気がついていない。

自分の実力だって勘違いしてやがる。


ホント、見事な親の七光り。


こんなヤツらがこの国の将来を担うって思うと恐怖しかない。

ここで必死に勉強している人たちの方がいい未来を作ってくれる。

でも結局はコイツらの駒として働かされ、努力して頑張った事さえも手柄を奪われ無かったことになる。


努力が認められない。

そんな理不尽な世の中になったのも『第2の性』という存在が世の中に出たから。


『α性』は優秀な人。

『β性』は普通の人。

『Ω性』は劣等な人。


持って生まれた『第2性』だけで全てが決まる。



「次の講義、かったりーしサボろうぜ」

「じゃあさ、あそこ……行かね?」

ニヤっと笑うコイツら姿は見慣れたが嫌悪感は増すばかり。

「またかよー!」

「なら、行かねーのか?」

「いくー!」

「お前の『いく』はどっちだよ」

こんな下衆な会話が成り立つコイツらはイカれてる。


確かに『α性』は秀でている。


だからって何もしなくていいのか?

だからって傲慢な態度を取っていいのか?



何をしたって許されるのか?



そして他の性と体質が違う『Ω性』


それだけで何をさせたっていいのか?

それだけで卑下しないといけないのか?



何かを求めることさえ許されないのか?


ストーリーメニュー

TOPTOPへ