まだ見ぬ世界へ
第2章 愛のカタマリ
ピピッ…ピピッ…
「ぅーん」
スマホのアラームを消して、もう一度布団にくるまって目を閉じる。
コンコン……
「カズくん、潤、起きてね!」
「……ふぁーい」
布団から出ると寒さでプルっと身体か震えた。
「潤、朝だよ。起きて」
二段ベッドの上で寝ている潤の身体を揺らすが、いつもの様に起きる気配はない。
「起きろ…っ」
身体にくるまっている布団を勢いよ剥ぎ取った。
「うっ、さ…さみぃ」
「起きないと、冷房に切り替えるぞ」
薄目を開ける潤の前にあらかじめ持っていたエアコンのリモコンを見せつけた。
「わかったよ……起きる」
これをすると不機嫌ながらも素直に起きる。
前にマジで冷房に切り替えたし、夏は暖房に切り替えた事もあるからこれは効果抜群。
ホント寝起きが悪いから、家族誰も潤を起こそうとはしない。
必然的に同じ部屋の俺が起こさなきゃいけないから知恵もつく。
「ご飯、行くよー」
身体を起こしてポリポリと寝癖の髪をかく潤を置いてリビングに向かう。
「おはよー」
「おはよう、カズくん」
「はよー」
「おはよう。相変わらず寝癖、ひどいわね」
「うっせー」
遅れて潤もリビングに来た。
「あなた、出来ましたよ」
「あぁ……」
その声で読んでいた新聞を閉じる親父。
母さんはサッとエプロンを外すと椅子に座った。
「じゃあ、いただきます」
母さんの声に俺は軽く手を合わせて朝食を食べ進める。
潤も俺の隣でパクパクと食べ進める。
高校生にもなって揃って朝食なんて変かもしれないけど、俺はこの時間が嫌いじゃない。
だってこの温かい家庭は、親父と俺だけじゃ作れない空間。
でも全員が揃わないのは……寂しいな。