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友達のままがいい

第5章 (過去)社会人

明日の予定を聞かれたけど、明日は夕方から康臣さんにお祝いをしてもらう予定だから昼には帰ることを伝えると、すこし寂しそうにしていた。

「文香ぁ~~早く帰ろうよ~~早くぅ~~」

「あ!花ごめんごめん。じゃ、則ちゃんバイバイ」

何かを言いたそうにしていたけど、花を早く送り届けたくてタクシーに乗り込んだ。
小さくなる則ちゃんを見ながら悪い事をしたなと思った私は、初めて則ちゃんにメールを送った。
送りながら、メールを送ることがこんなに簡単だったことに驚いた。
卒業したばかりの頃は色々と考えてメールの連絡すらできなかったのを考えると、もっと早くに連絡をすればよかったと少し後悔した。
それでも、それだけだった。
則ちゃんを見ても特別な感情が沸き起こることもなければ、あの頃の恋心が芽生えることもなかった。
それだけ時が過ぎてしまったのだと思っていた。

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