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友達のままがいい

第5章 (過去)社会人

それでも康臣さんとのつきあいは続いた。
則ちゃんへの気持ちを再認識しても康臣さんと一緒の時間も幸せで離れることができなかった。
だけど、そんな生活を続けていると何年たっても変わることのできない自分が嫌で仕方がなく、あの時と何ら変わってない自分に笑いがこみ上げてくる。
則ちゃんへの想いを自覚してもなお慶介とのつきあいを続け、慶介を傷つけてしまったあの時…
もうあんなことは二度としないと心に誓ったはずなのに、また同じことを繰り返している。
それを自覚した私は、康臣さんと別れる決意をした。
康臣さんは本当に私の事を好きでいてくれたのか、簡単に首を縦に振ってはくれなかった。
何度も何度も話し合って、私には好きな人がいて、その人のことが忘れられないのだと説得して、最後には分かってくれた。
言わなくて傷つけてしまった慶介。
言って傷つけてしまった康臣さん。
どっちが良かったのかなんてわからないけど、ほかの人を好きな気持ちのまま付き合うことほど失礼なことはないと思う。

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